マンデラの名もなき看守【Goodbye Bafana】
本日もアマゾンプライム見放題、
お題はこちら。
マンデラの名もなき看守
ネルソン・マンデラが投獄された際の担当看守、
ジェイムズ・グレゴリーの手記を元にした作品です。
「名もなき看守」ってタイトルだけど、名前はある。
南アフリカ共和国の政治家、弁護士。
若くして反アパルトヘイト運動に身を投じ、1964年に国家反逆罪で終身刑の判決を受ける。
27年間に及ぶ獄中生活の後、1990年に釈放される。
アパルトヘイト撤廃に尽力し、1993年にノーベル平和賞を受賞。
1994年大統領に就任。
その家族らの対比
アパルトヘイトや黒人差別、解放運動についてのドキュメンタリーや映画は他にもたくさんあると思うのですが、
この映画の特徴(?)はやはり「看守さん目線」という事に尽きると思います。
主人公は看守のジェイムズ。
愛する妻と二人の子供、彼の一番の望みは「家族の幸せ」。
時の人の担当看守になった事はあくまでもお仕事であって、
本人に黒人解放運動やアパルトヘイトに対しての強い関心は、
当時の世間一般常識以上には、元々特にはないんですよね。
それでも長い時間を一緒に過ごし、様々な事件を体験する中で
価値観の変化があったり、自分の行動を省みたり、
その内になんだか、お互いが特別な存在になっていきます。
背景が描き出すのは「黒人解放運動何それおいしいの」状態の人々の心理と日常。
特にジェイムズの奥さん、グロリアの言動の変化は、とてもわかりやすいです。
テロリスト
↓
いいスピーチね
↓
生きるか死ぬか、自由を争うマンデラの家庭と
パパの出世とご近所づきあいに、心せわしいジェイムズ一家。
ストーリーの主軸に据えられたこのコントラストは、
単に「白人さんひどいね!黒人さんかわいそう!」という感情を煽るだけでなく
限られたコミュニティや情報だけに頼る事の危うさと
それらを信じる事で、安全を享受する大衆の弱点を描き出しているのだと思います。
冒頭に「名もなきってあるけど名前はある」って書きましたが、
「名もなき」大衆の代表って意味が含まれているのかもしれません。
(とはいえこれ邦題で、原題は「Goodbye Bafana」ですが。。。)
こんな方におススメ
人種差別やアパルトヘイトについて理解を深めたい。
メインストリームの外から見たサイドストーリー。
最前線の外の人々の価値観、日常やその変化を覗き見、
ジェイムズのサクセスストーリー(?)と紳士なマンデラもご堪能下さい。
監督:ビレ・アウグスト
出演:ジョセフ・ファインズ, デニス・ヘイスバート, ダイアン・クルーガー
2008年/1時間58分
共に行動をしていく事で、固定観念や思い込みが変わっていく、という事は
人種差別によらず日常の中でもしばしば遭遇する場面ではないでしょうか。
集団の中で心地よくいる為に、見るべき事や考えるべき事をおろそかにしないよう、
仮に行動が取れなかったとしても、理解する事を放棄しないよう
努めて生きたいと、改めて感じた次第。。。